作品世界

~プロローグ~ 人間と魔族が戦争を始めてから、十五年もの時が流れていた。ゲートから魔界に突入した人間の軍は魔族の重要拠点を一つ奪ったが、その隙を突かれて魔族軍に領土の一部を占領されてしまう。極寒の南部諸王国では魔族と人間との小競り合いが多発し、魔物による被害と混乱が人々を苦しめた。そんな悪夢のような混迷の中、一人の勇者が立ち上がり、三人の仲間とともに魔族討伐に乗り出した。彼らの快進撃は中央諸国に住む民衆の大きな希望となった。しかし勇者は、思うように進まぬ魔界進攻に業を煮やしたのか、それとも他に理由があったのか、仲間たちと離れ、たった一人で魔王の住む城へと向かっていった……。